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第877話使ったものは全部持って行ってくれ

「君のものだ、持って行かなければならない」

アレクサンダーは彼女にきっぱりと念を押した。

それからアレクサンダーは、そこに突っ立っているヴィクトリアを掴むと、右手でそっと引いた。ウェディングドレスが、滝のようにゆっくりと滑り落ちていく。

その白いウェディングドレスは、結婚式の日の香りをまとっているかのようだった。

特に、それが滑り落ちる瞬間、その香りは一層蠱惑的だった。

ヴィクトリアは、指先にそれを打ちつけられたかのような感覚に陥った。

かつて彼女の腕の中は、そのウェディングドレスでいっぱいだったのに。

ウェディングドレスは一瞬だけそこにとどまり、彼女の涙がこぼれ落ちると同時に、ドレスは...