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第857話大嫌い

「あなたって本当に自分勝手ね」

ヴィクトリアはアレクサンダーを怒ってそう叱りつけると、くるりと背を向け寝室へ向かった。

ドアにたどり着こうとしたその時、彼女は肘を掴まれた。振り返るとアレクサンダーが微笑んでおり、次の瞬間、彼が彼女を腕に抱き上げると、ヴィクトリアのつま先は床から離れた。

自分は子猫か子犬なのだろうか?

どうしてこんなに簡単に抱き上げられるのだろう?

「アレクサンダー」

「中で話そう」

アレクサンダーは彼女の言葉を遮り、彼女を抱いたまま寝室へと入った。彼は振り返り、ヴィクトリアの足を使ってドアを閉めた。

ヴィクトリアは怒りで顔を真っ赤にした。「降ろして」

「すぐにね」

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