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第848話あなたの甘い話に騙されない

「あなたの秘書の給料だってアレクサンダーが払っているのでしょう。本当にあなたが奢ってくれるのかしら?」

「じゃあ、あなたが奢ってくれるってこと?」

ヴィクトリアは彼女を見つめ、そっと尋ねた。

「割り勘よ」

ダイアナはそう言うと、くるりと向きを変え、アレクサンダーのオフィスへと歩き出した。

ヴィクトリアは仕方なさそうに微笑んだ。『この兄妹、どっちも同じくらいプライドが高いのね』

しかし、ヴィクトリアはこれから実行しようとしている別の計画については、良い感触を得ていた。

もしかしたら、ダイアナはちょうどいいタイミングで帰ってきたのかもしれない。

正午、ダイアナは意気消沈した様子でア...