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第846話彼女は夫と一緒に座るべきだ

「無理しないで。最悪……」

「え?」

ヴィクトリアは混乱した様子でアレクサンダーを見た。

薬のせいか、それとも今夜の彼が格段に優しいのか、ヴィクトリアには判然としなかったが、それでも彼の言葉の続きを聞きたくてたまらなかった。

「最悪、楽しむことだって思えばいい」

ヴィクトリアは彼を見つめた。心臓の鼓動が次第に不規則になっていく。

アレクサンダーのその殊勝な態度に、自分がひどく移り気な女であるかのように感じさせられた。

彼女はうつむき、『まだ結婚していると言ったのは誰だったかしら?』と思った。

『彼が一日中私のベッドにいられるのなら、私が彼の体を使っていけない理由なんてないじゃない?』

ええ、自...