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第817課案の定、彼はドアの外に立っていた

「そんなことなさらなくてもいいのに」

ヴィクトリアは無理に笑顔を作りながら静かに言うと、アレクサンダーのそばを丁寧にかわして部屋に入った。

アレクサンダーは、差し伸べた手をまだ引っ込めることもできずに立ち尽くし、鞄を持って入っていく彼女の後ろ姿に一抹の寂しさを感じていた。

メイソンは、自分の存在がアレクサンダーを気まずくさせるのではないかと気遣い、さっと顔をそむけた。

しかしアレクサンダーは、メイソンのその意図的な回避に気づいてしまい、さらに胸を痛め、うつむいて中に入るしかなかった。

「まさかわたしが糖尿病だなんて! なるんだったら、とっくになっていたはずよ。ヴィクトリア、どうしたら...