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第612話

「すごく嬉しい！おばあちゃんがフランス料理があるって言ったわ。早く入りましょう」ヴィクトリアは率先して彼の腕に自分の腕を絡め、甘くべたつくような声で言った。

アレクサンダーは半眼を閉じて彼女をじっと見つめた。そして視線を下げ、彼の腕を掴む手を見てから、無意識に再び彼女を見た。

ヴィクトリアは眉をひそめて言った。「なんでそんなに真剣に見つめるの？怖いわ」

「芝居はやめろ」アレクサンダーは冷淡に忠告した。

「芝居なんかじゃないわ。ただ嬉しいだけよ。早く入りましょう。お腹ペコペコなの」

「大げさすぎる」アレクサンダーはもう聞いていられずに再び指摘した。

「つまらない人ね」ヴィクトリアは諦...