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第295話

ロクサーンの笑顔は、エステラが巻き貝を気に入った様子を見てさらに深まった。ロクサーンは巻き貝を取り、エステラの耳元に当てた。

エステラは首を傾げ、困惑した表情を浮かべた。

「聞いてごらん。伝説によると、巻き貝には波の音が入っているんだって。聞こえる?」ロクサーンは微笑みながらエステラを見つめた。

それを聞いたエステラの目が輝き、彼女は注意深く耳を傾けた。

しばらくして、彼女は激しく頷いた。「うん!聞こえる!」

今度は、ロクサーンが驚く番だった。

ロクサーンはただエステラと遊んでいただけだった。まさか子供がはっきりとした答えを返すとは思ってもいなかった。

一瞬、ロクサーンは自分自身を疑わずにはい...