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第110話

弾き語りと呼ばれていたけれど、ほとんどアカペラで歌っているような感じで、あまり満足できるものではなかった。

楽器が一つだけだと単調で、ギターは歌声にかき消されてしまいがちだった。本番の日にはやはりきちんとした伴奏が必要だろう。ギターはただ変化をつけるためのものだった。

ダニエルはギターの達人で、長年練習を続けていた。彼がギターを手に取るとすぐに、リズムに乗り始めた。

何年経っても、彼は変わらなかった。指が弦に触れると、彼は音楽と一体になり、まるで踊る音符のようだった。

ダニエルの姿勢はリラックスしていて没頭していて、音楽は滑らかに流れていた。

彼の演奏を見ていると、私も突然やってみた...