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第766話赤ちゃんを怖がらせて泣かせる

ノアはいつもつかみどころがなく、連絡は電話でしか取れない。だから、彼が姿を見せると、テディはいつもノアのそばにぴったりとくっつき、その小さな足をつかんで離そうとはしなかった。

「なあ、ヴェラ、パトリック。部屋はもう予約した? もしまでなら、ホテルに電話して二部屋予約しておくよ。両親が来るときはいつもそうしてるんだ」

ヴェラは答えた。「パトリックがもうスイートを予約して、あなたの部屋も取ってくれたわ」

「ありがとう、パトリック」ノアは微笑んだ。その笑顔はヴェラのそれによく似ていて、彼女をよく知る者にしか分からないものだった。

ノアの笑顔を見たパトリックは、とっさにテディに目をやった。彼の...