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第805話

「アレクシ!」私は頭に覆いかぶさったそれを引っ張りながら、パニックになって叫んだ。閉じ込められた、鈍い孤立感が嫌で仕方なかった。だが彼の声が横から私の耳に届いた瞬間、まるで彼がここにいるかのように聞こえて、私は動きを止めた。

「はっきり聞こえる?」

私は狂ったようなパニックを止め、黙って頷いた。どうやって彼がヘルメットの中にいるのかわからないけれど、それは解放されたような安心感をもたらした。自分の声だけに閉じ込められるのではなく、彼が私の声を聞けるということ。

「話せるよ。ヘルメットにはワイヤレススピーカーとマイクが付いてるから、バイクに乗っていても互いの声が聞こえるんだ」彼はヘルメット...