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第779話

不思議なことに、今日は過去の誕生日よりも悪くない。

映画を見てケーキを食べながら、過去のことについて深く考えることもなく、そして新しい可愛いものを目にするたびに、なぜか奇妙な感覚を覚える。理由は分からない。私だって、他の女の子と同じくらいアクセサリーが好きだけど、今まで持っていたどれにも特別な愛着を感じたことはなかった。

この小さなブレスレットは、急速に私の心の琴線に触れるような奇妙な愛着を形成していて、それを見るたびに私は微笑んでしまう。説明できない、馬鹿げた内なる喜びの泡。

たぶん、これまでの二十九回の誕生日の中で、誰かが私にプレゼントをくれたのは初めてだからかもしれない。彼からだとし...