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第642話

アリックは私を壁に強く押し付け、前戯から先に進むのを待っていると身体が緊張するが、彼は息を切らせて立ち止まり、少し離れた。

彼はズボンのポケットをもぞもぞと探り、一本の鍵を笑顔で掲げる。私はもどかしく、早く私と関係を持つよう彼を促そうとするが、彼は私を床に降ろした。これは明らかに彼がそのつもりがないことを示している。

「何してるの?その鍵は何?」私は不機嫌な声を出す。彼が私を興奮させ、狂おしいほど官能的になるよう仕向けておきながら、急に止めたことに苛立っていた。

「あなたのお母さんの家の鍵だよ。今夜はそこで過ごす」

えっ、いつからそんな話に?私たちは昔を懐かしんで彼の古い部屋で過ごすものだと思...