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第549話

彼は無言で手紙を受け取り、私の顔から紙へと無表情に視線を移す。手紙を開いて注意深く読み、彼の目は何も表情を変えずに黙って文字を追っていく。彼が何を考えているのか、手がかりは全くない。読み終えるのにほんの一分もかからず、変わらぬ様子。やがて、彼の顔に笑みが広がる。

「フランスのファッションアカデミーに一年間の奨学金をもらったのか?」彼は私に向かって輝くように微笑む。彼の美しい顔に本物の誇りが浮かぶが、私の中には不安の固まりがまだ残っている。彼がその意味に気づくのを待っている。「お前が本当に才能あるってことじゃないか、ベイビー。なぜそれが悪いことなの?」彼は手紙を置き、再び私を引き寄せ、腰を掴ん...