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第535話

バッグを拾い上げて、通りを横切り、靴を取りに行く。自分のアパートを見上げると、冷たい虚無感が襲ってきた。私は感覚が麻痺し、足は痛み、涙が頬を伝って流れている。ゆっくりと建物に入り、階段で自分の階まで上がる。死んだように静かで、午前2時頃だろうか。隣人の迷惑にならないよう、なるべく音を立てないようにする。

冷たい歩道に座っていたのはほんの一分だけだった。自己保存本能が働き、感覚の麻痺が私を動かし、中に入らせた。泣き止めないのに、内側では死んだような気分だ。ここに座ってこの痛みについて考えていたら耐えられないだろう。だから決めた。どこでもいい、足がもつれるまで歩き続けよう。ここに座って、彼が私を...