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第462話

そして、歌が終わり、周囲のカップルたちが拍手し始めると、その瞬間は崩れ去った。私たちは気まずく離れ、拍手に加わる。その特別な瞬間が過ぎ去ったことを痛感しながら。私は彼以外のどこかを見つめ、自分の感情をコントロールしようと必死だった。何を感じるべきか、何を言うべきか、頭の中は混乱していた。彼の視線が私に注がれているのを感じる。その視線が横顔を焼くように感じるけれど、私は彼を見返すことができない。弱くなった決意のほんの少しでも見せるのが怖いから。涙がこぼれそうで、すすり泣いて彼に飛びつき、すべてを元通りにしたい衝動と戦っている。彼は私の弱い部分をすべて露わにし、足元から地盤を崩してしまう。でも、そ...