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第209話

彼はズボンを履いたあとでドアを開け、外にいる誰かと会話するために立ち止まる。寝室、そして着替え中の私を隠すように、ドアをほとんど閉めたままだ。私にはただ小さな話し声が聞こえるだけ。タオルを巻いたまま待っている私は、服を着るべきか、それとも彼が戻ってきて先ほどのことを続けるのかわからずにいる。体が液体のように感じる。鏡を見れば、きっと顔は紅潮し、蹂躙された跡が見えるだろう。息も絶え絶えで熱くなっている。

彼が笑い、それが私の注意を引く。彼の笑い声が大好きだ。とても深くて、のびのびとして、男らしい。でも普段の低い声に、笑うときだけ少年のような響きが混じる。目を閉じて永遠にその声を聴いていられるだ...