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第178話

二時間後、空っぽのアパートに入り、テーブルにバッグを放り投げて部屋を見回す。本当はここにいたくない、枕に顔を埋めて泣くために帰宅するのではなく、仕事場で準備をしているべきなのに。人生を立て直さなければ。ウィルマの言うとおりで、これまでのことは怒涛の日々だった。なのに私はただ現実から目を背け、自分を仕事に追い立てるばかりで、すべてを受け止める時間を取らなかった。考える時間が必要だ。本当に自分だけの時間を持って、これからどうするべきか考えなければ。

ヨーロッパで働きたいのか?

いいえ...ニューヨークを離れたくない。

カレロハウスを去りたいのか?

いいえ。あそこで働くのが好きだし、馴染みがあって...