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第171話

私が顔を上げた頃には、外はすっかり暗くなっていた。背筋を伸ばして席を立つ。二十件以上の電話をかけ、様々な要人への招待状について複数のアシスタントとメールのやり取りをし、イベントプランナーとも連絡を取った。もう午後7時近いので、今夜はこれ以上できることはないだろう。

天気は冬に向かっているので、日が落ちるのも早い。こんなに暗くなるとは思っていなかった。こんなに遅くまで残ったことを後悔している。クイーンズの駅からの道のりは暗くて少し怖いだろうから。

机を片付けてラップトップの電源を切り、コートとバッグを手に取って、あくびを堪えながらエレベーターへ向かう。チンと鳴り、ドアが開き、中に入る。空いて...