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第610話

「その手がかりは広大山に連れて行かれた。そして狼族のムーンハウルが現れたらしい。我々はそんな霊獣をヴェクサの隠れた宗派に奪われるわけにはいかない」とサルバトーレは嘲笑した。

「ムーンハウルがついに現れたのか?」大師範は驚愕した。他の師範たちは混乱した様子で、明らかにその重要性を理解していなかった。大師範が部下たちよりもはるかに多くを知っていることは明白だった。

「ああ、隠れた宗派内の情報網がなければ、我々はまだ何も知らないままだっただろう」サルバトーレは再び嘲笑した。

「では噂は本当だったのか、この世界に本当に霊獣が存在するとは!」大師範は恐怖の表情を浮かべた。

「この世界にはかつて霊...