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第31話

ノア

クッキー…ダリアが僕のためにクッキーを作ってくれた。

彼女が容器を差し出した時の笑顔と、そのクッキーがどれだけ美味しかったかを思い出すと、自然と笑みがこぼれた。彼女は「ただのクッキー」と言ったけど、僕にとってはそれ以上の意味があった。彼女が僕のことを考えて、時間を割いて何かを作ってくれたということだから。それに、母さんとハビエル以外に、こんなことをしてくれた人はいなかった。だから彼女がしてくれたことで、胸がときめいた。

すでに電話で僕がここにいることを伝えてある。クリスマスプレゼントを開けるのを待ちきれない子供のように、彼女を待っている。シートで身を乗り出して彼女のアパートを...