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第92章

朝の光が格子窓から柔らかに差し込む後宮を通り、王はダラの部屋へと向かった。部屋には香の香りが漂い、部屋を彩る絹のカーテンがかすかにそよぐ音と混ざり合っていた。ダラはベッドに横たわり、まだ虚弱で弱々しく、かつての輝くような美しさは命を奪いかけた病によって今は薄れていた。彼女の顔は痩せこけていたが、頬には少し血色が戻り、もはや死の扉に立つ亡霊のようには見えなかった。侍女たちは近くに控え、枕に寄りかかって休むダラを優しく世話していた。

ダラは王が入ってくるのを見ると、唇が柔らかな笑みを浮かべた。彼女の目は安堵と幸せが混ざり合って輝き、まるで彼の存在だけで力を得たかのようだった。「陛下」と彼女は息を...