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第61章

アルデュラメンドの時期が再びやってきた。宮殿は活気に満ちあふれ、廷臣や召使いたちが王国全体を祝祭で包み込む盛大な祭りの準備に忙しく走り回っていた。空気は焼きたてのお菓子の香りと、楽器の調律音で満たされていた。

準備の最中、王は昼間に突然イザベラの部屋を訪れた。彼女がふかふかの絨毯の上に座り、イッカール王子と笑いながら遊んでいる姿を見つけた。その光景に、彼は一瞬、王としての重責を忘れるほどの温かさを感じた。

「イザベラ」と王は柔らかく呼びかけ、部屋に足を踏み入れた。彼女は顔を上げ、驚きと喜びで顔を輝かせた。

「陛下」と彼女は立ち上がって挨拶した。王は数歩で彼女との距離を縮め、優しいキスで迎...