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第55章

王とイザベラは、イザベラの部屋と王の部屋を繋ぐドアに軽くノックされ、穏やかに目を覚ました。まだ眠そうな王は「入れ」と声をかけた。

アリセントは腕の中にイッカー王子を抱きながら部屋に入った。彼女は軽く頭を下げ、謝罪と緊急性が混ざった口調で話し始めた。「陛下のお休みを妨げて申し訳ありませんが、王子が授乳を必要としています。イザベラ様は王子にご自身の母乳しか与えられないと仰っています」

すでに起き上がっていたイザベラは、愛情に満ちた笑顔で手を伸ばした。「ありがとう、アリセント」と彼女は息子の姿を見て目を輝かせながら優しく言った。「こちらに連れてきて」

王はイザベラがイッカーを腕に抱く様子を、優...