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第33章

イザベラは王の退出を見つめながら、彼女の思考を曇らせる混乱を振り払うことができなかった。また、彼の存在に心臓が高鳴る不安な感覚も無視できなかった。レディ・ベレットの言葉が彼女の心に響き、今置かれている危うい立場を痛感させた。彼女はハーレムでの生活という危険な水域を生き抜くためには、王の移ろいやすい愛情に囚われるわけにはいかなかった。

数日後、イザベラが夕食後にベッドに引き退こうとしたとき、大切にしていたアレンドリアの物語の本が見当たらないことに気づき、不安な感覚が彼女を包み込んだ。マットレスの下を必死に探る彼女の指先は空しく宙をつかみ、胸に恐怖がよぎった。

彼女はいつも発見されるリスクを知...