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第174章

イッカルは宮殿の廊下を駆け抜けた。彼の胸は、抑えきれないほどの切迫感で高鳴っていた。タリアがどこにも見つからなかった。彼は使用人の部屋、台所、さらには彼女が散歩するのを好む庭園まで探し回った。しかし彼女はいなくなっていた。

答えのない疑問が重なるごとに、胸の痛みは鋭くなっていった。何が起きたのだろう?彼女はどこへ行ったのだろう?彼はアマラ王女の寝室へ向かった。望みは薄いが、彼女がそこにいるかもしれないと思って。もし誰かが彼を助けられるとしたら、それはタリアだった。

しかし扉を開けると、中にいたのは母親だけだった。アマラの髪を梳き、就寝の準備をさせていた。

「母上」彼は声を張り詰め、かろう...