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第163章

図書館は蝋燭の柔らかな灯りに包まれ、ストームランドの歴史が刻まれた石壁に影が伸びていた。夜の空気は冷たく、遠くから聞こえる海の轟きは、この土地とその領主の荒々しい性質を感じさせた。リヤは長居するつもりはなかった。ただ、ベルトン卿との日に日に険悪になる交渉の中で、次の一手を考える場所が必要だっただけだ。彼女は古い書物の擦り切れた革の装丁に指を這わせ、見知らぬ土地でも本という親しみのある存在に慰めを求めた。

重い扉がきしみ、彼女の心臓が喉元まで跳ね上がった。振り向く前に、敷居を越える靴音の確かな足取りに彼女の鼓動は速くなった。ベルトン卿の存在感は、彼が口を開く前から部屋中に満ちていた。彼はまるで...