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第156章

タリアの宮殿での日々は静かな日常に彩られていた。彼女は金箔が施された広間や大理石の階段の壮麗さ、絹の重みや廷臣たちのささやきに慣れていた。しかし、皇太子の視線を感じるたびに、不安と混乱の波が彼女を包み込んだ。それは恐怖ではなく、むしろ落ち着かない意識のようなものだった。彼女は遠くからイッカルを見て、彼が将来の王としての紛れもない風格を持ち、自信に満ちて大胆に振る舞うのを観察していた。彼は間違いなく父親の息子であり、すでに指導者としての素質を備えていた。

しかし、彼らの目が合うとき、そこには何か別のものがあった。火花のようなもの。そしてそれは彼女を深く動揺させた。

彼女は可能な限り彼を避け、...