「私から全てを奪った」彼女は囁くように言った。その声は息のように微かだった。「私の王国も、父上も、自由も。いったい、何を望むというの？」

竜王は面白そうに、そして好奇心に満ちた眼差しで彼女を見つめ、皮肉な笑みを浮かべた。「全てだ」彼は端的に答えた。「私の正当な権利である全てを望む。お前もその一つだ」

「陛下は私をどうなさるおつもりですか？」彼女の声は僅かに震えていたが、敢えて反抗的な調子を込めて問いかけた。

アラリックは玉座から立ち上がった。その動きは獲物を狙う捕食者のように、流れるような計算された仕草だった。「私に仕えるのだ」彼の声は威厳に満ちて広間に響き渡った。「側女として子を産め。それが済んだら死ねばいい」

強大な竜王アラリックによってアレンドール王国が征服された後、王女イザベラは彼の後宮へと連れて来られ、数多の側女の一人として仕えることとなった。王は彼女に対して冷酷無比で、敵の娘であるという理由だけで懲らしめた。イザベラは王を恐れていた。それは当然のことで、できることなら王を避けて生き延びることだけを願っていた。しかし、二人を引き寄せる何か強い力が芽生え始めると、王女の純真な無垢と王の冷たい心は、恐れと欲望という危険な舞踏の中で出会うこととなる。


ドラゴン王の妾

石の城塞では、貴族たちはイザベラが女王として戴冠することに対して意見が分かれていた。彼女は王位の唯一の正当な後継者ではあったが、その立場は紛れもなく物議を醸すものだった。彼女は竜王の宮廷で二年間側室として過ごし、今や彼らの間に息子を持ち、さらに彼女の胎内には竜王の二番目の子供と後継者を宿していた。そのため、彼女への疑念が渦巻いていた。彼女は本当に自分の民を統治するため、正当に自分のものである王位を取り戻すためにここにいるのだろうか？それとも単に、別の女性との裏切りに対する竜王への復讐心に駆られているだけなのだろうか？
貴族たちの間では意見は様々だったが、ほとんどは後者に傾いていた。彼らにとっ...

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