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第968話ヴィンセントはリアムの手に落ちた

家に戻ると、セリーンはタコのようにヴィンセントにしがみつき、絶対に離れようとしなかった。

ヴィンセントが引きはがそうとしても、その力はびくともしない。

セリーンは彼を見上げた。なんて素敵な人……。これは夢なのだろうか?

彼女は飲みすぎていた。アルコールのせいで、すっかり大胆になっている。

くすくす笑いながらヴィンセントの顎を掴む。「ねえ、笑ってよ」

ヴィンセントのこめかみがズキリと痛んだ。頭痛の兆候だ。セリーンは酔うと手に負えなくなるな、と彼は心に刻んだ。

「俺が誰だか分かるか?」ヴィンセントは、抱きかかえるまでもなく勝手にくっついてきた女に尋ねた。

セリーンは首をかしげ、じっと...