Read with BonusRead with Bonus

第951話リアナの過去

刑務所を出て、リアナは新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ。胸のつかえが半分ほど下りた気がした。

ああ、なんて晴れやかな気分だろう。

リアナは拳を握りしめ、目に涙が溢れた。彼らを生かして刑務所に閉じ込めておくことこそが、最高の罰なのだ。

マレー家の庶子であるリアナの悪夢は、母の死後から始まった。母は癌で死ぬ間際、娘の将来を案じてリアナの父親が誰であるかを公表した。それが我が子を地獄に突き落とすことになるとは、知る由もなかったのだ。

世論に押されたベックは、不承不承リアナを引き取った。表向きは「マレー家の令嬢」とされたが、その暮らしは使用人以下だった。

十三歳の時、実の父親――あの化け物...