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第71章

「ヘンリー、私たち、結婚するつもりなんて最初からなかったわ」ジャスミンは無理に微笑んだが、目には頑固に涙が渦巻いていた。「ただ私を隠して。しっかりと隠してくれれば、とても従順にするから。婚約を破棄して、ゼルダが有罪だと公に認めてくれるなら」

彼がこれに同意すれば、彼女は身も心も差し出すことになる。

ヘンリーは手を伸ばしてジャスミンを腕の中に引き寄せ、強く抱きしめた。

「ジャスミン、少し考える時間をくれ」

ヘンリーの声はかすれており、一瞬、本当に彼女の要求を受け入れようと考えた。

彼女を家に連れ帰り、永遠に隠してしまいたいと思った。

「商工会議所の晩餐会の夜に、答えを聞かせて」ジャス...