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第686章

ベンも怒っていた。「緊急事態だと言って、グレープフルーツを買いに行ったのか?」

「あそこで誰かがグレープフルーツを売っていて、出所したばかりかと聞かれたんだ。俺は正義に満ちた顔をしているのに、刑務所に入るような人間に見えるか?」トムは続けた。彼女が自分の価値を認めていないと感じながら。

ジャスミンとベンは視線を交わし、無力に、しかし面白そうにため息をついた。

「このグレープフルーツはかなり甘いよ。無駄にしないでくれ」トムは皮をむいたグレープフルーツをビニール袋に丁寧に入れ、意外な皮むきの才能を見せた。

ジャスミンは一切れ取って味わった。確かにかなり甘かった。

「彼女は嘘をついていなか...