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第1621話連れ去られた

「でも、あれは明らかに偽物よ！」セイディは声を震わせ、切羽詰まったように叫んだ。「まだ止められるわ！」

「余計な口出しはするな！」

ニコラスは彼女を冷たく一瞥し、部下に合図を送ると、彼らはすぐにドアを閉めた。

かつてオリビアに助けられたことを思い出したセイディは、隣の部屋に駆け込んで止めようとしたが、顔に傷のある男に阻まれた。「これ以上騒ぎを起こすなら、容赦しないぞ」

「あなたたち……」

セイディが言いかけたが、部屋から聞こえてくる甘ったるい笑い声に遮られた。

彼女の心臓は沈み、顔は青ざめた。

もう手遅れだと悟った。

「出ていけ」傷のある男はそう命じ、彼女をエレベーターに押し込...