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第1620話私は彼女を助けています

その場にいた誰もが、息をのんだ。

誰もがセイディは気絶したものと思っていた。まさか彼女が突然目を覚まし、これほど素早く動いて銃を奪い取るとは、夢にも思わなかったのだ。

「ほう、どうやら君を完全に見くびっていたようだ」感心したような響きを含んだ、冷たい声がした。

「やっとお会いできましたね、ミスター・グレアム」

セイディは振り返り、ソファに座るニコラスを睨みつけた。その瞳は、燃え盛るような激しい憎しみに満ちていた。

ニコラスは想像していたよりも若かった。五十歳を超えているはずだが、四十代にしか見えない。

背は低く、見た目も平凡だが、その瞳だけは鋭く冷たい光を放っていた。

「面白い!」...