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第78話

「どうか扉を閉めないで。あなたが思っているような理由で来たわけじゃない」男性は足をドアと枠の間に滑り込ませ、開いたままにしようとした。

彼女がどう反応するかは分からなかった。セスのことを知っている彼としては、彼女が彼の顔の前でドアを思いっきり閉めることも十分あり得た。もしそうなったとしても、実際には障害にはならないだろう。彼はたやすくドアを壊せるが、そんなことをしたいとは微塵も思っていなかった。

できることなら、彼らの間で対立や言い争いなしに、すべてを話し合えることを望んでいた。これまで二人は本心から話し合ったことがなかった。

時に二人の人間は、たとえ運命の相手であっても、問題を話し合わ...