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第45話

セスは声を上げた人物の方へ顔を向けた。彼女から数フィート離れたところに、ヴラドが両手をポケットに入れ、唇に大きな笑みを浮かべて立っていた。

いつもは冷静な男性が、普段の姿とはまったく違って見えた。その優しいアルファは、セスに刑務所から出てきたばかりの狂気的な殺人鬼を思わせた。

群衆の中に紛れ込み、次の犠牲者を探している逃亡中の殺人者のように。セスは彼に眉を上げたが、彼はただウインクを返しただけだった。

「ダーリン、遅かったね」ヴラドはセスに近づき、自分から力を放射していた。

これは彼の全く新しい一面だった。初めて会った時には、彼は自分の優位性を見せびらかすことはなかった。今、彼は大きな...