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第53話

私は何も感じなかった。

画面を見つめながら、私が感じられたのはただ麻痺だけ。何も考えられず、何も感じられなかった—ただ、私が愛してやまない男が別の女性と一緒にいる姿を見ているだけ。彼の腕の中で。彼女の唇が彼の唇に触れている。

私は叫ばなかった、泣かなかった、怒りすら感じなかった。ただ胸に穴が開いていくような、空虚感だけがあった。

どれくらいの間写真を見つめていたか分からないまま、私は静かにノートパソコンを閉じ、ベッドに潜り込んで目を閉じた。

「憎い…」暗闇に飲み込まれる前に、自分がつぶやくのが聞こえた。


深呼吸して、送信ボタンを押した。

メールは送信された。

彼への最後...