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第10話

アルファ・ライアン・ダミソン

目に映るのは赤だけ。怒り。

運命の相手を思うと、血管が激しく脈打つ。俺の運命の相手は男だ、こんなクソ認められるわけがない。明らかに月の女神は俺を陥れようとしている。なんて狡猾な雌犬だ、俺を男と結びつけるなんて、これ以上の滑稽な間違いはないだろう!

女神が最初から俺を嫌っていたのは分かっていた。だが過去にはもっと大きな悪党がいたはずだ。なぜ俺なんだ?なぜ?

胸が脅すように上下する、怒りと憤怒が表面に浮かび上がってくる。運命の相手の存在そのものが俺を嫌悪させる。その性別が、その細い体が、その弱さが、彼に関する全てが俺を嫌悪させる。

冷静でいられない、...