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581話もし彼に恵みのような娘がいたら

「外だ」

ザビエルのその言葉に、ドリアンは立ち上がり、ドアへ向かった。

応接室のドアを開けると、リビングの床から天井まである大きなガラス窓の向こう、庭の隅の一面に咲き誇る紫色のアイリスの花々の中に、少女がうずくまっているのが見えた。

彼女はまるで妖精のようで、その白いドレスは青と紫の色調に溶け込み、最も美しい装飾のように見えた。

グレースも後からやってきて、リビングから外を見ると、庭には広大なアイリスの花畑が広がっていた。ザビエルがいつこれらを植えたのか、彼女は全く知らなかった。

アイリスの花は実のところ育てるのが簡単だった。枝さえあれば、土に無造作に挿しておくだけで、どんなに過酷な環...