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第174話

(ジェッサの視点)

長い五時間半の運転の末、私はようやく幹線道路から外れ、クリムゾン・ドーンへと続く砂利道に入った。横に手を伸ばしてコールの手を握り、優しく摩りながら彼を起こそうとする。この一時間ほど昼寝をしていた彼が、少し身じろぎした。

「起きて、コール。もうすぐ家よ」

内に募る不安とは裏腹に、私は落ち着いた声で話しかける。シャドウランズのパックでコールと過ごした過去二ヶ月間は、矛盾しているようだけれど、神経をすり減らすと同時にリラックスできる時間でもあった。

両親が亡くなった後、唯一私を世話してくれたパックの安心感から離れることで、二年ぶりに不安が芽生えた。でも、彼が家に戻る前に運...