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第56話

ラ・ロッカの登山は本当にきつい作業だ。普段は文句を言わない方だが、この暑さで体力が奪われてしまう。顔からは汗が噴き出しているが、それでも私たちは歩き続け、さらに高く登っていく。インディアはすぐ後ろにいる。彼女からは今のところ一つも不満の声が聞こえてこないことに感心している。私たちは二人とも十分体力があるはずだ。弱音を吐きたくないので、何も言わずに進み続ける。下山してくる観光客たちが道中で挨拶をしてくる。今になって、なぜグループのほとんどが私たちに同行するという私の申し出を断ったのかがわかる。彼らはこのきつい山を登るよりも、テラスで日光浴をしていることを好んだのだ。道中には古い要塞がいくつかある...