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第84話

ヘイゼル

「ほら、白狼は月の女神から祝福を受けて狼人間を守るためのものであって、彼らを導いたり権力を握ったりするためのものじゃないわ。だからこそ女神は私にあの研究所のビジョンを見せたの、あの哀れな魂たちを救うためよ」私はできる限り冷静に聞こえるように説明する、実際はそうではないけれど。

「もちろんあなたはそう言うでしょうね。みんなにあなたが月の女神のために働いていると信じさせ、あなたのすることすべてが彼女の名のもとに行われていると。みんなを疑問なくあなたの味方につけて従わせるための最高の動機づけですよ」

ジャクソンが私に一歩近づくと、私の見せかけの冷静さは空気中の煙のように消えていく...