守るためのもの

第122話

窓を開けた。彼らが麻酔ガスを使うかもしれないと心配したからだ。右側にそう遠くないところに非常階段があるのに気づいた。建物の軒は狭いが、なんとか渡れるはずだ。距離は短い。

窓枠に上り、そして軒の上に足を踏み出す。体重を支えられるか確認しながら。下は見ない。小さな一歩、また一歩と進み、ようやく非常階段に到達した。階段に上ると安堵感が広がる。そして下を見て状況を確認する。建物は包囲されていて、警察が通行人を遠ざけている。黒い服を着た武装した男たちが周囲を警戒している。

ここから見られずに逃げるのは不可能だ。別の方法を見つけなければ。体を低くして、階段を下りるのではなく、屋上へと上っていく。幸い屋...