第5章
最新の展開にエヴリン、ランドン、サイモンの三人が色めき立っているのを見て、チャーリーはにやりと笑い、得意げな表情で言った。「会社の経営が、計画をいくつか書き留めるだけで済むほど簡単だとでも思っているのか？」
それから彼は真剣な表情になり、エヴリンと視線を合わせた。
チャーリーが何か重要なことを言おうとしているのを察し、エヴリンは集中して耳を傾けた。
「エヴリン、お前が家業を継ぎたいというなら、それでも構わん。わしは頭の固い昔の人間ではない。止めるつもりはない。ビジネスは利益がすべてだ。小手先の派手な手腕など、ビジネスの世界では通用しない。だが、大きな責任を負いたいというのなら、それは生易しい道ではないぞ。ランドンを見ろ。あいつが今の地位に就くまでに一年かかったんだ」
チャーリーは続けた。「公平を期すため、まずはマグデンにあるＫＳワールドホテルの経営をお前に任せてみよう。半年以内にそのホテルを赤字から黒字に転換させることができれば、ランドンの地位をお前に譲ることも考えよう」
ランドンとサイモンが口を挟む前に、彼は付け加えた。「もちろん、この期間中、テイラー家のコネクションも資金も自由に使っていい。ランドンが得た援助は、お前にも同様に与えられる」
そう言うと、チャーリーは手を振り、エヴリン、ランドン、サイモンに書斎から出るよう合図した。面倒な子供たちの相手は、ひとまずこれで終わりだ。
書斎を出た後、ランドンはまっすぐ自室に向かい、法衣に着替えると、エヴリンに釘を刺した。「父さんに、これを俺から取り上げる口実を与えるなよ」
サイモンはため息をついた。「ランドン、君は本当にエヴリンを信じているんだな」
「父さんは私に厳しい試練を与えたけど、私はプレッシャーがあるほど燃えるタイプなの。私が尻込みするとでも思っているなら、大間違いだわ」エヴリンは情熱的に言った。三年間眠っていた彼女の野心が、今にも爆発しそうだった。
サイモンとランドンは顔を見合わせて微笑み、サイモンはエヴリンの肩を叩いた。「エヴリン、君に期待しているよ。がっかりさせないでくれ。何か必要なことがあったら、いつでも僕に電話してくれ」
「とんでもない。父さんがテイラー家のリソースを自由に使っていいって言ったのを聞いてなかった？ あれは私を陥れるための罠よ。もし私が父さんの予想以上にリソースを使ったら、私を後継者リストから外すつもりなんだわ」
「なんて狡猾なんだ」サイモンは舌打ちをした。
だがランドンは冷静だった。「ビジネスとはそういうものだ。利益とリスクは常に表裏一体。そのバランスを取ることが、すべてのビジネスマンに求められることなんだ」
一瞬、テイラー家全員の心が一つになり、誰もが輝かしい未来を予感していた。
しかし、エヴリンの元夫であるエドワードは、良い気分ではなかった。
リリーに最後に会ってから五日が経っていた。朝の会議を終えたエドワードは、疲れた様子で秘書のバート・ハンクスをオフィスに呼びつけた。
「リリーの居場所について、何か情報はあったか？」
バートは罪悪感を滲ませながら眉をひそめた。「ウェリントン様、まだです。ウェリントン夫人が以前よく行かれていた場所や、訪れる可能性のある場所はすべて確認しました。エデンブルックに登録されている住所にも、人を送りました」
バートは慎重にエドワードの顔色を窺いながら続けた。「ウェリントン夫人が登録していた住所は、しばらく前に取り壊されていたことが判明しました。聞き込みをしたところ、元住民の話では、その地域にブラウンという姓の者はいなかったとのことです」
エドワードは勢いよく顔を上げた。「何だと？」
バートはごくりと唾を飲み込んだ。エドワードの表情は、取締役会で相手を問い詰めている時よりも恐ろしい。それでも彼は続けた。「本当です。あの辺りは親戚の多い村のような集落だったそうで、ブラウンという姓は珍しく、そんな特殊な名前の者がいれば地元の人なら覚えているはずだと。しかし、ブラウンという名の人物は本当にいなかったのです」
一息置いて、彼は付け加えた。「私も信じられず、コネを使って地方自治体の記録を調べさせましたが、リリー・ブラウンという人物は存在しませんでした」
エドワードはもはやじっと座ってはいられなかった。彼は立ち上がり、何かを思い出したように尋ねた。「サイモンは？ ランドン・テイラーは？ 数日前、リリーはテイラー家と関わりがあった。そちらは調べなかったのか？」
「ウェリントン様、我々の会社はナイトスピア・グループと、彼らの私生活に踏み込めるほど親密な関係にはありません。それに、もし彼らが何かを隠そうとすれば、我々が手がかりを見つけることはできないでしょう」エドワードの厳しい視線を受け、バートの声は次第に小さくなっていった。
あの夜、サイモンがリリーを庇った光景は忘れられない。エドワードは、彼らがただの友人だとは信じていなかった。
だが、恋愛関係にあったとでもいうのか？ その考えは、エドワードをひどく苛立たせた。
エドワードが物思いに沈んでいると、ドアをノックする音が彼の思考を遮った。
「ウェリントン様、階下にアダムス様と名乗る女性がお見えです。アポイントメントがなく、下で止められていますが、お通ししますか？」と、その手の業務を担当する女性社員が尋ねた。
ニコルが階下に？ エドワードはわずかに眉をひそめたが、彼女を通すよう頷いた。
非常に目端の利くバートは、ニコルの来訪によってエドワードの機嫌が良くならなかったことに気づいた。彼は、リリーがまだエドワードのそばにいた頃を懐かしく思わずにはいられなかった。
エドワード自身も気づいていないのかもしれないが、彼はリリーに何の感情もないと公言していたものの、彼女と一緒にいるときはいつも、明らかに心が安らいでいたのだ。
エドワードはバートが何を考えているか知る由もなかった。彼はただ思案していた。リリーとは合意書に署名したが、手続きが完了するまでには時間がかかる。彼らの結婚は周知の事実であり、離婚もまた、世論をうまくコントロールするために慎重に進める必要があった。このタイミングでニコルが公然とウェリントン・グループを訪れることは、間違いなく多くの噂を呼ぶだろう。
彼はその噂を恐れてはいなかったが、不必要な騒動でウェリントン家がニコルを低く評価するような事態は避けたかった。
これは私的な問題なので、エドワードはバートに残りの仕事を終えて退出させた。
ドアのところでニコルとすれ違った後、バートは静かにスマートフォンを取り出し、社員グループにメッセージを送った。
社員バート：【さっき、ウェリントン夫妻の関係を壊した張本人とすれ違った】