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第190話

私は神経が高ぶっていた。恐怖を感じていた。これまでの人生で怖いと思ったことがなかったような気がする。心臓が胸から飛び出しそうなほど大きく鼓動していた。長老たちや部屋にいる誰かに自分の到着を知らせるために、アルバートの書斎のドアをノックする必要はないと分かっていた。

狼の優れた聴覚と、太鼓の音と競えるほど大きく鳴り響く私の鼓動なら、彼らは何マイル離れていても私が来るのを聞いていただろう。

アルバートの書斎に着こうとしたとき、私は踵を返して庭へと走り出した。これはできない。無理だ。こんなに取り乱した状態で、しかも彼らが私に何を求めているのかも分からないまま長老たちと対面することはできなかった。...