狼の玉座

第72話

ルアラの視点

体が目覚めるのを感じたけれど、目はしっかりと閉じたまま開くことができなかった。聞こえるのは周りで人々が慌ただしく動き回る音だけ。そんな中、誰かの手が優しく私の顔を撫で始め、私は無意識にその慰めの手に顔を寄せた。

「ルアラ、聞こえる？ねえ」

横たわったまま動けず、感覚も鈍い私を、ロペスの安心させる声が包み込んだ。全身が重く、まるで家が上に落ちてきたかのようだった。

少し口を開けて空気を求めると、痛みで呻いた。気道が締め付けられているような感じがした。

「彼女を医務室に連れていかなきゃ」ロペスは叫びながら、私の顔から髪をどけ続けた。私は目を開こうと苦闘していたが、残っている...