狼の玉座

第44話

ルアラの視点

「私の美しい運命の伴侶の名前はなんだい？」ベンソンはティアナの目だけを見つめ、まるで部屋に他の誰もいないかのように尋ねた。

「ティアナ」彼女はささやき、頬がどんどん赤くなっていった。ベンソンは自分の運命の伴侶を愛おしそうに見つめながら小さく笑い、彼女の額に長く優しいキスをした。ティアナはそっと目を閉じた。

咳払いが二人の小さな世界を破った。トンプソンがそこに立ち、ベンソンに向かってにやりと笑っていた。

「まあ、恋に溺れた子犬みたいだな」彼はからかうように言い、低い唸り声が返ってきたが、ティアナが伴侶の背中を上下に撫でると、その唸り声はすぐに収まった。

今度は私がトンプソ...