狼の玉座

第31話

エバの視点

トーリーは私の前にしゃがみ込み、胸が速く上下し、その目には狼が宿り、怒りと激怒が残っていた。そしてその一部は私に向けられていた。

私にはその理由が分かっていた。自分自身を危険にさらしただけでなく、ルアラ、そして知らずにいた彼の胎児までも危険にさらしたのだ。私の家族を守るために必死に戦ったパックの狼たちの命を危険にさらし、娘の命さえも危うくするところだった。

彼は怒りで震えていたが、ルアラと私を近くに引き寄せ、両手で私たちを胸に保護するように抱きしめた。彼は数分間、何も言わずに私たちを抱き続けた。

「エバ、お前には怒り心頭だ。だが二人とも無事で本当に良かった」彼は低い唸り声で私の耳...