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第209話

アナザー視点

あの少女を母親と一緒に殺すべきだったのに、どうしてもできなかった。あの夜のことを思い返すと、彼女の香りを思い出す。それはこの世のものとは思えない香りだった。彼女の母親の胸から手を引き抜き、まだ鼓動している心臓を落とす前から、私は疑念を抱いていた。一瞬のことだったが、彼女の本当の姿が垣間見えた。

デイビナを生かしておいたことに不安はあるが、私の計画にとって彼女は非常に役立つ存在になりうる。私の内なる思索は、部下の声によって中断された。

「わが君」彼は頭を下げ、私が続けることを許可するのを待っている。私が手を振ると、彼は立ち上がった。

「その少女は父親と共に評議会の敷地に到着...