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第660章「いわゆるゲーム」

カスピアの目がわずかに揺れた。

彼が良くなることは決してないだろう。古傷は癒えておらず、また新たな傷が増えるだけだ。そうである以上、常に痛みを抱えている方がましだった。

「何も言わないなら、受け入れたってことだと思うわ」ダイアナは手を伸ばし、塗り薬を彼の手に乗せた。

カスピアは反射的に拒絶し、塗り薬を彼女に押し返した。

その動きで、ダイアナは地面に倒れ込んだ。

ダイアナは地面についた肘を見て顔をしかめ、その丸い瞳はみるみる涙で溢れ、泣き出した。

カスピアはそんな光景を見たことがなく、罪悪感に苛まれた。

「大丈夫か?」彼はどうしていいか分からず、その場に立ち尽くした。

ダイアナの...